歯並びについてのお悩みもさまざまあります。治療を始めるためには、歯並びのタイプ(お口周りの筋肉の状態)をきちんと把握することが第一段階となります。

「歯並びが悪い」と聞いて、どんな歯並びを想像されますか?一人ひとりのお顔が違うように、歯並びのお悩みにも実にさまざまな症状があります。代表的な症例を紹介しますので、これらを参考に、ご自身の歯並びのタイプを見つけてみましょう。
「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」という症状で、いわゆる「出っ歯」と呼ばれる歯並びがこれにあたります。原因としては、上あごと下あごの成長がうまく合っていない、指しゃぶりなどの癖によるもの、前歯の生え方の角度異常などが考えられます。
●上の前歯だけが極端に前に出ている
●上唇が歯に押し上げられて、口を閉じていられない
●口を閉じると口元が不自然に見える
小臼歯を抜歯して歯列を整える方法が多くとられますが、当院では特殊なケースを除き、歯を抜かずに専門の装置(ディスタライザーなど)で後ろへ移動させて修正します。小学校低学年のお子さまであれば、床矯正で、まずあごの拡大を調整していきます。
「叢生(そうせい)」という症状で「乱ぐい歯」とも呼ばれています(八重歯もこの叢生に含まれます)。あごの大きさと歯の大きさが合っていないことが主な原因です。歯が磨きにくいため、むし歯や歯肉炎が起こりやすくなるのもこの歯並びの特徴です。
●歯並びがでこぼこしている
●食事のあと、歯に食べかすが残りやすい
●笑うと犬歯が見える
抜歯をするのが一般的ですが、当院では特殊なケースを除き、歯を抜かずに専門の装置(ディスタライザーやリップバンパー)で歯を移動し、歯が並ぶスペースを作り出します。小学校低学年のお子さまは、床矯正で、まずあごの拡大を行います。
「反対咬合(はんたいこうごう)」という症状で「受け口」と呼ばれています。遺伝で発症することが多いですが、上唇を噛むなどの口元の癖によって起こることもあります。
●あごがしゃくれている
●下の前歯が上より出ている
●発音がよくない
●咀しゃくがうまくいかない
歯を抜かずに専門の装置(ディスタライザーやリップバンパー)で下あごの前歯を後ろに下げるため、第1大臼歯を後方移動させます。小学校低学年であれば、まず床矯正であごを広げる治療で調整していきます。
「狭窄歯列弓(きょうさくしれつきゅう)」という症状です。頬の筋肉が歯列を外側から押す力の方が強い場合、上あごの臼歯部の幅が狭まって発症します。細い三角形の歯並びとなるので、上顎前突や叢生などを併発することも多々あります。
●歯ぐきより歯列が小さくてバランスが悪い
●歯並びが逆三角形に傾斜している
●咀しゃくがうまくいかない
●口呼吸になってしまう
歯を抜かずに専門の装置(ディスタライザーやリップバンパー)で犬歯のスペースを確保できるように歯を移動します。小学校低学年であれば、まず床矯正であごを広げて調整していきます。
「交叉咬合(こうさこうごう)」という症状で「クロスバイト」「すれ違い咬合」とも呼ばれています。上下のあごの発達に歪みが出てしまい、噛み合わせも上下の歯の中心がずれてしまいます。遺伝もありますが、成長期の悪い癖(頬づえ、爪噛み、唇を吸うなど)が原因となる場合もあります。
●顔が歪んでいる
●歯の噛み合わせが左右にずれている
小学校低学年であれば、床矯正であごの発達をコントロールすることが何より効果的です。小学校高学年以降でも、歯を移動する専門の装置で口腔内のスペースを広げます。
「開咬(かいこう)」という症状です。舌を出す・指をしゃぶるなどの癖、口呼吸の習慣などが起因すると考えられます。前歯で噛むことがうまくいかないため、食事が不自由になります。また、息漏れで発音異常なども起こります。
●噛み合わせで、前歯の上下間に隙間ができる
●前歯で食べ物が噛みちぎれない
●発音がおかしい
小学校低学年のお子さまであれば、まずあごの発達を正しくする床矯正を行います。それ以上の年齢の場合でも、非抜歯矯正の専門装置を使って、前方に引き出す矯正を行います。
残念ながら、歯並びの乱れは自然に治ることはありません。放置すれば、小さな乱れでも年々進行し、見た目の悪化とともにむし歯や歯周病発症リスクが高まります。骨格の歪み、呼吸や発音障害、噛み合わせ不具合による内臓疾患など、お口以外の体の不調が表れる原因にもなりかねません。
また歯並びの乱れは、複数の症状が組み合わさっているケースがほとんどです。早期に治療すれば、見た目がよくなるだけでなく、将来的な健康不安も軽減できます。気になる症状があるときはひとりで悩まずに、なるべく早目にご相談ください。